庄内の小さな港町のおいしい台所は、低利用魚で笑顔を生む。

庄内のとある小さな港町に、穏やかな海を臨む一軒の家があります。朝靄晴れぬ早朝、食卓に並ぶ艶やかな炊立てごはんとあたたかいお味噌汁が、寝ぼけまなこの子どもたちを迎えます。お味噌汁は、今朝生産者が持ってきてくれた魚「金頭（かながしら）」からだしをとったもの。子どもたちは、身体を芯から温めてくれるこの濃厚なだしが大好物です。

「みさきの一軒家」に込めた想いとは？

(株)岡ざきが展開するレトルト食品「みさきの一軒家」シリーズは、こんな家族の食卓風景をたくさんの人に届けるため、2021年4月にローンチされました。「“とある一家が、生産者から頂いた食材で作った料理をご近所におすそ分けしたら…”というコンセプトでブランド作りをしました。ですので、レシピ考案は”時々の食材をどう活かすか”からスタートします。」と語る代表の岡崎さん…いかにも美味しそうな料理を作りそうでしょ（笑）

”低利用魚””未利用魚”をなんとかしたい

庄内浜では130種ほどの魚種が獲れるが、内4割がスルメイカを占め、他の魚種は少数多品種。中には、市場価値がないため水揚げされてもすぐに廃棄されてしまう”低利用魚”や”未利用魚”と呼ばれる魚もたくさんいる。

「価値が付かない理由は、認知度が低かったり、手間がかかったり、数が揃わなかったりと様々です。せっかく揚がったのに廃棄されるなんて、魚にとっても、漁師にとっても、喜ばしいことではないですよね。」

「飲食部門の”魚亭岡ざき”で提供するとしても、手間暇や活用数を考えると、やはり現実的とは言えない。そこで私たちは、加工品として活用することにしたのです。」

そうして生まれたのが「みさきの一軒家」シリーズのひとつ【庄内浜のだし】。

材料は、庄内浜で獲れた低利用魚の金頭と小鯛。さらに鱈・干し椎茸・昆布・日本海の塩でバランスを調えた。どんな料理にも馴染む風味で、1回分がパックになっていて使いやすい。

「揚がった低利用魚全てを使うことは出来ませんが、こうして一定数使わせてもらうことで、命を懸けて漁に出てくれる漁師さん、乾燥や粉砕などの下処理をしてくれる業者さん、普段は食せないお客さん、何より命を提供してくれる魚に、ちょっとだけ貢献できている気がします。」

「みさきの一軒家」おすすめは？

庄内の食材がふんだんに使われている「みさきの一軒家」シリーズ。岡崎さんのオススメBEST3は何でしょう？

「3位は、【さくらますのコンフィ】です。上質な脂が乗った柔らかな身を塩水で程よく下味をつけ、EXバージンオリーブオイルに浸してゆっくりと火を加えています。そのまま食べていただいても勿論美味しいですが、パスタなどにアレンジしても美味しいですよ。」

「2位は【まぐろのもつ煮】です。まぐろのもつは希少で普段はなかなか食べることがないですよね。この商品では新鮮なまぐろの心臓（ハツ）・胃袋・白子・たまごの4種のもつを、しょうがを効かせて炊き上げました。部位ごとの食感が楽しめ、酒の肴にぴったりです。」

「1位は、小麦粉をほぼ使わずに作る【まぐろのカリー】シリーズです。生姜が効いた【辛口まぐろHOTカリー】、トマトたっぷり【めかじきまぐろキーマカリー】、具材がごろごろ入った【まぐろテールカリー】の3種をご用意しています。どのカレーも素材を楽しめるよう程よいスパイシーさです。」

自然からの恩恵を溢さず活用したい

「近年、庄内で獲れる魚が変化してきています。地球環境の変動も影響しているのでしょう。私たちは海や里の食材で商売をさせてもらっていますが、いつまでも自然に頼ってばかりはいられません。」

「低利用魚の活用など資源を無駄にしないことも大事ですが、地域の食文化を守るためにいずれは自然保護活動をしたいと考えています。」

やりたいことが溢れ超多忙な岡崎さんのマインドは、自社の利益というより「地域のためにできること」に向いている。

「みさきの一軒家」シリーズが提供するとある一家のおすそ分け料理は、自然に対する感謝の気持ちのおすそ分けとも言えそうだ。

魚亭岡ざき

気高くそびえる山々から広大な庄内平野、日本海に至る様々な地形の中で、豊富な食材に恵まれてきた山形県は鶴岡市。ユネスコ食文化創造都市にも認定され、1年を通して色とりどりの「美味しい」を楽しんでいただけます。岡ざきでは鶴岡の魅力を伝えていくために、海の幸を中心とした旬の料理をご提供しております。
公式HP http://www.sakanatei-okazaki.com/

Written by

モノソノモノ編集部

山形県鶴岡市において営み豊かに暮らす人々を、
「サステナブル・エシカル・ローカル × コンテンツ」の視点で紹介していきます。